膣トリコモナスは鞭毛虫という原虫の一種です。世界に分布しておりシストを持たないため、経口感染は認められず、もっぱら性行為に伴う直接的接触が感染経路と考えられます。この原虫はグリコーゲンを多く消費するため、糖分やグリコーゲンを多量に含んでいる成熟した女性の膣に好んで寄生します。婦人科疾患の患者の40%はトリコモナスに感染しているものと考えられます。
男性は性行為によってのみ感染、尿道や前立腺に寄生します。しかし、男性の場合、感染しても発症しないことの方が多いようです。ただし、性的パートナーに感染させる能力はありますので治療は必要です。
女性は感染すると尿道炎を起こすこともありますが、主な症状は膣炎です。膣トリコモナスが女性の膣に感染すると、乳白色や淡黄色の泡沫状ないしは膿汁状のオリモノが増量します。
2,3割の人は外陰部に発赤・かゆみ・灼熱感がみられます。排尿痛あるいは排尿不快感も生じます。進行によってはオリモノに血が混じったり膣壁に黄色い分泌物を伴う小さな顆粒状の出血班が見られることがしばしばです。
膣トリコモナスに感染するとトリコモナスが膣内の糖を消費してしまうため、膣内をアルカリ化させてしまい、他の細菌感染を助長する傾向があります。
膣トリコモナス感染時にはその他のSTDとの混合感染がないか充分に注意してください。
膣トリコモナスは粘膜のみに寄生しますので粘膜下組織にまで侵入する心配はありませんが膣以外の臓器にも寄生しますので全身投与することになります。
メトロニダゾールやチニダゾールという薬を10日程度投与します。妊娠初期の場合は局所療法として錠剤の投与が選択されます。
2週間程度で完治しますが、性パートナーにも感染していることが多いので、両者の治療を同時に行わないと、俗に云うピンポン感染が繰返されます。
ご注意! | ここでの説明は一般的知識の範囲になっています。典型的な症例や治療法の説明にすぎません。内容は充分チェックしていますが、くれぐれも参考情報にとどめてください。素人判断・素人療法は絶対に避けることをお勧めします。とくに、現実に症状などを自覚した時は、専門医の診断を受けられることを、強くお勧めします。 |
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